獄中短歌「百回休み」012
今朝読んだ三面記事にでかでかと報じられてた人と談笑

 拘置所でもずっと独房だったが、風呂だけでなく「運動」の時間も、他の独房の人たちと一緒になる。
 運動の時間とは名ばかりで、まあ実際にランニングなどする人もいるが、べつにそれを強制されているわけではないので、たいていは獄中者同士の交流、ダベリの時間になる。1回20分ぐらい。
 私がよく一緒になった面々の中には殺人犯も何人かいて、無期懲役の判決を受けて上訴(控訴あるいは上告)中だったりするのだが、日常はべつにフツーの人たちである。「目が違う」とか、そんなのない。
 彼らが上訴するのはたいてい情状酌量を求めて有期懲役に減軽してもらうためだが、中に一人、冤罪を主張している人がいた。実際のところどうなのか私には分からないが、裁判で検察側が提出した被害者の死亡推定時刻に関する鑑定が不充分で、場合によっては彼のアリバイが成立するかもしれない成り行きになってきたという記事がどーんと朝刊に載っていたことがあった。
 だからこれも実話である。