獄中短歌「百回休み」010
就寝を告げるインストゥルメンタルの「ひとり寝の子守唄」はブラック

 福岡拘置所の就寝の合図は、各部屋に設置しているスピーカーから流れる、「ひとり寝の子守唄」のインストだ。七〇年代初頭の、加藤登紀子のヒット曲である。
 独房だけでなく雑居房でも同じなんだろうが、それにしてもひどいセンスというか、なんとも絶妙なブラックジョークだ。
 しかしこんな幼児の頃のヒット曲(それも大ヒットというわけでもない)のメロディーを突然聴かされて、「あ、加藤登紀子だ」と分かってしまう私も私だ。
 ちなみに〇七年に経験した鹿児島の拘置所では「イェスタデイ」のインストが使われていた。もうちょっとなんか考えようよ。