獄中短歌「百回休み」001
ガキの頃 遊んだ山の裏側にこの刑務所は当時からある

 実話である。
 私は4歳の頃から福岡県大野城市というところで育った。
 四王寺山(大城山)という標高四百メートルほどの山があり、私の通った小学校はそのふもと以上中腹未満のあたりに建っていた。小学生の基本“秘密基地”もこの山のあちこちに築いたものだ。
 私たちが遊んでいたのはもちろん主に大野城市側の斜面になるのだが、山の反対側は宇美町といって、宇美町には刑務所があるということを、何かの機会に聞いて知った。「悪いことをするとこの山の向こう側に連れていかれるんだ」と、当時漠然とイメージしていた。
 私は優等生だったし、刑務所なんてものには無縁の一生を送るものだと信じてもいた。
 四半世紀後、私はその宇美町にある福岡刑務所の独房にいた。