小泉毅さんの政治テロ

『週刊SPA!』07年12月9日号に掲載

 容疑者の小泉毅さんは交通違反の罰金拒否で交通刑務所に入ったことがあるようですが、そこが彼と私との唯一の共通点 (笑)。いや、まだあった。私も小学生のときに親が飼い犬を保健所に連れていってしまい、その頃から親との関係がギクシャクし始めた。
 報道では当初「年金テロ」として非難されてたけど、私は一応「テロ」肯定派ですからね(笑)。
 ただ、彼の場合、官僚という標的はいいけど、動機が……。犬の仇討ちとか言われても共感しがたい(笑)。ちなみに大阪池田小事件で児童殺傷した宅間守さんは「大人になって日本を支配する奴らを芽のうちに摘んでおく」という理屈で名門小学校を襲ったわけで、一応スジは通ってますが、やはり子どもを殺すのには本能的に共感しにくい。秋葉原大量殺傷事件の加藤智大さんは、ワーキングプアや非モテなど現代の深刻な問題に注意を喚起する力があったけど、標的選びがあそこまでヤケクソっぽいと擁護しづらくなる。
 ところが今回の事件では、標的は正しいのに動機は意味不明。でも、見方を変えるとそのわけのわからなさが与えた衝撃は逆にすごい。ネット上で結構支持されてるようだけど、捕まえてみたら本当に「年金テロ」で、単に極端な右翼か左翼の犯行だったりすると、かえってシラケたはず。 
 そして今回すごく重要なのは被害者があまり同情されていないこと(笑)。特にネットでは。官僚こそがこの国の真の支配者なのに、失敗しても責任をとらされない。その理不尽に誰もが気づいてるから、ここまで理不尽な「仇討ち」に遭っても同情されない。このことを暴露して官僚を恐怖に陥れた点では、結果として実に効果的な「政治テロ」であると言えます。