13番目の男
闇の世界で生きている
黒幕さえ震え上がる
不吉な名で知られている
国も法も奴を縛れない
ケネディ暗殺の陰に
バチカンの疑惑の陰に
奴がいたという噂さ
確かな証拠はないが
安っぽいヒューマニズムも
正義もモラルも感情もない
マシンのような男だと
奴を見た者は小声で語る
ラスプーチンの血を引くとも
毛沢東が育てたとも
奴の素性を知る者はない
嗅ぎ回った者は二度と戻らない
アーマライトが狙ってる
おそらくあのビルのどこかから
アーマライトが狙ってる
スコープがおまえを捉える
ゲスな連中のジョークに
ニヤリともせず黙ったまま
黒いビジネスの依頼を
壁際に立って聞いてる
「やってみよう」と奴は云った
依頼人は笑みを浮かべ
なにげなく差し出すその右手は
むなしく宙をさまよう
「話は終わった」と
背中向けて静かに歩きだす
声もかけず近寄るなよ
新品のカーペットを汚すことになる
最上階のスイート・ルーム
奴は決行の日を待ってる
誰かの命と引きかえた
金はスイスの秘密口座へ
アーマライトが狙ってる
まさか思いがけぬ彼方から
アーマライトが狙ってる
スコープがおまえを捉える
フリーメーソンの陰謀も
ナチの残党も蹴散らし
CIAの裏をかき
アカどもの罠をすり抜ける
裏切りは決して許されない
ヘタな云い訳はいらない
奴の腕をご存じだろう
苦しみは一瞬のはずさ
アーマライトが狙ってる……