悪霊
歴史は私に無罪を云い渡す
とらわれた革命家はそう云った
だけど囚われのぼくは思うのさ
歴史は奴らに無罪を云い渡す
だからこそぼくは世界を憎むのだ
甘い囁きはいつもこの耳に
希望を捨てるな夢をあきらめるな
ぼくらはそうしてそれぞれの未来を
選んでいるのか選ばされてるのか
問いかけはいつも風と消えてゆく
生きてゆくことと死んでゆくことの
あいだには何もないような予感
憎むべき世界とたたかうその時
持てあましているのはぼくの肉体
憎むべき世界とたたかうその時
持てあましているのはぼくの生活
だけど何よりもぼくのこの意識
不幸な意識が悪霊のごとく
世界を憎む者たちに取り憑いて
引き返すことのできないところまで
手招きしているのがぼくには見える
だからこそぼくは世界を許すのだ
あきらめ続けてゆくことだけが
ぼくに残されたただ一つの生き方